オブリビオン・プレイ記事

 実は、原稿ではゲームの具体的な特定の内容を直接書くことをあまりしないけど、プレイメモは割と細かく残している。しかしそれは、普通の場合はそれは単なるネタバレの羅列になるので出来るだけ原稿に反映させることは避けている。
 しかし超クソゲー3での特集記事を書くために、特にオブリとフォールアウトは自分がゲーム中でどんなプレイをしたかを書いていた。
 超クソゲー発売記念に、そのとき作られた本編とは関係ないメモ的なプレイ記事を公開しようかと思うが需要があるんだろうか?
 
【何度目かのレベル1にて】
 ある街のダウンタウンで、着のみ着のまま……というか何も装備していないパンツ一丁でたたずむプレイヤーがいる。レベルはまだ1、牢獄から逃げ出す際に拾った装備は重いから、拾ったボロ弓以外は片っ端から全部売り払った。
 そのプレイヤーの横を、仰々しい褐色のフルプレートアーマーに身を包んだ騎士が闊歩する。
 一度クリアしたことがあれば分かる。その装備一式は、エボニーアーマーシリーズ。マジックアイテムを除いた中では最強を誇る重装備だ。
 ちなみにこのゲームでは、全員が装備を着込んでアイテムを持って生活している。
 つまり、この強そうな騎士は、見た目どおり最強の装備に身を固めてパンツ一丁のプレイヤーの前を歩いているというわけだ。
 今すぐ身ぐるみ頂きたいと思うのは当然の成り行きというものだろう。
 ここで普通のRPGならば、どんなに自由度が高くてもレベル1で本当に何も持っていないプレイヤーが、この屈強な騎士を倒して装備一式を頂くというのや夢のまた夢。
 しかし、このRPGはこれっぽっちも普通なんかじゃない。この騎士を一目見た瞬間から、この褐色の最強装備一式を手にいれる方法を考え始めた。
 
 褐色の騎士から装備を強奪するため、ゲーム内で何昼夜も気付かれないようスニーキングを行うも、装備を脱ぐ兆候は無い。もちろんどう普通に攻撃しても、褐色の剣の一閃でプレイヤーは即死する。
 では暗殺をと思い急所を狙うも、とてもじゃないけど背後からの一撃程度で即死してくれるようなタマですらない。
 でも、結論としては、キャラクターはレベル1にしてエボニーアーマーシリーズの全装備一式をこの手におさめることが出来た。
 ただ、その綿密な計画を練るために試行錯誤を繰り返し、実に現実時間で3日3晩を考え抜く羽目になった。眠っていてまで計画を練る夢を見ていたのだから、本当に3昼夜かかったと言っていいだろう。
 ほぼ最強の装備で身を固めた強面の勇者でも、姦計を巡らせさえすれば全裸同然のレベル1の放浪者ですら打ち倒すことができる。使ったアイテムは、拾ったボロ弓だけ。
 これから語るのは、そういうRPGについてである。
 
【最強装備強奪作戦】
 褐色の騎士の行動ルートは、たゆまぬストーキングの末ついにほぼ特定した。
 そして、見るからにガラの悪い連中のたむろする安酒場周辺で、下準備を始めることにする。まずは褐色の騎士に話しかけ説得し、続いて最寄り安酒場でのガラの悪い酔っ払いたち全員と酒場の主に話しかけ、説得を行い必死で好感度を上げる。
 好感度を上げておくと、いざ戦闘が始まったときに仲がいいほうの味方として加勢してくることがある。今回の作戦の要点は、まさにそこを突くことにある。そしてある人通りの少ない裏通りの、衛兵の目が行き届かない曲がり角。
 そこから褐色の騎士の後頭部めがけ、弓を撃つ。

 騎士は怒り狂って追いかけてくるが、プレイヤーは騎士との距離を測りながらそのまま安酒場の中に逃げおおせる。
 プレイヤーを追って酒場に踊りこんだ騎士は、さっそくプレイヤーに助太刀するガラの悪い酔っ払いたちに取り囲まれ、乱戦が始まる。この安酒場自体が、説得により既に罠そのものになっていたというわけだ。
 そして、多数の酔っ払い相手にプレイヤーの相手どころではなくなった騎士に話しかけ、休戦を申し出る。
 ここで騎士の好感度も上げていたことが効いてきて、騎士とは仲直りして戦闘を中止できる。しかし、騎士と酒場の面々の喧嘩だけは納まらず、喧嘩の原因となったプレイヤーなど無関係に、そのまま戦いは続く。
 しばらくはそうして酒場での乱闘騒ぎを他人事のように見ていると、だいたい多人数でかかっていても、装備で劣る酔っ払い側から犠牲者が出はじめる。でも心配はない。
 そうなればなったで、今度は騎士のほうが犯罪者となり安酒場に衛兵がなだれ込んで来る。さらに4・5人の犠牲者を出しながら褐色の騎士はついに倒れるという筋書きだ。
 戦いのあと、安酒場は散乱した屍の山で、凄惨な状態となる。
 こうしてプレイヤーは、NPCたちの尊い犠牲の上に、ついにレベル1でその倒れた騎士の屍から最強のエボニー装備一式を手に入れることが出来た、というわけだ。
 
【裸一貫の再出発】
 ボロ弓にパンツ一丁のみのプレイヤーは、その場で全身を覆うエボニー装備一式と剣と盾を装備し、酒場で悦に入る。そして悠々と歩み去る……つもりだったが動けない。
 実はエボニー装備は重すぎて、レベル1のプレイヤーでは重量オーバーを起こして一歩も歩けないのだった!
 そうして途方にくれているプレイヤーに、身内からも犠牲者を出した衛兵が近づいてくる。
「喧嘩した罰金を払え」
 騎士自体とは途中で仲直りしたから喧嘩扱いになり、死んだ酔っ払いの皆さんの件もノーカウントという扱いになっている。つまりこれだけの人死にを出していてもプレイヤーがやったこと自体は殺人じゃないということになっていた。
 プレイヤーは分不相応のエボニー装備一式を脱ぎ、酔っ払いと衛兵の屍から集めた装備を近所の商店に売り払う。
 生きてる人間からスリ取ったりして盗んだアイテムは盗品扱いになるけど、死んだ人間から剥ぎ取ったアイテムは盗品扱いにならない。
 このゲームでは、リアルな設定を積み重ねることを繰り返すうちに、さまざまなリアルじゃないことが発生する。今回のレベル1エボニー装備強奪成功も、リアルの隙を突いた不条理の結果だ。
「今回は、裸縛りプレイでもするか!」
 こうして、今回のクリアまでの間、鎧や衣類を一切装備せず裸一貫でクリアを目指してみることになった。すべての敵を気付かれる前に一撃で暗殺していけば、不可能じゃないはずだ。